「不思議の国の吸血鬼」(88年刊)を読んでみた(読み返してみた)

不思議の国の吸血鬼 (コバルト文庫)

不思議の国の吸血鬼 (コバルト文庫)

  • 1話目。いくら殺人事件に出くわしまくってる(!)とはいえ、人の死を見とった直後に平然とレストランで食事を続けるのはどうよ(特にみどりはおかわりを注文しとる!)……と思ったが、そんなこと云ってたら医者とか看護師さんたちは外食できないよなぁ(それとこれとは違う)。街に遊園地を作るか工場を作るかの対立に巻き込まれる話、当然工場側が完全に悪役で、人殺しも賄賂もその他悪どい手段もぜーんぶ工場側の仕業。現実もこれほどにわかり易く善悪が分かれていればどんなにか良かったか……と実際の世相と比べると非常に複雑な気分になった。どうせ相手が納得するはずないので「話し合い」の実績を作るだけとかまさに瓦礫の(以下略)。
  • 2話目。当時6〜7作目まで出来てた13日の金曜日ネタ。いつかの吸血コウモリの噛まれて超能力に目覚めたおばさんも強引であったが、今回の、落雷ショックで蘇った死人ともみ合っているうちに相手の血を浴びて(?)自分も不死者になってしまったというのはもっと強引。その不死者に「俺を倒せる奴を連れてこい」と云われて、まっ先にクロロック親子が候補に上がるあたり、作品世界内での彼らの知名度は相当なもののようで……。

 これがバブル期の娯楽小説ってなもんなでしょーかねー。