グインサーガの85巻目を読んでみた

 蜃気楼って唐突なタイトルでは?と思ったら在りし日のイシュトとリンダになぞらえていたのね。

蜃気楼の彼方―グイン・サーガ(85) (ハヤカワ文庫JA)

蜃気楼の彼方―グイン・サーガ(85) (ハヤカワ文庫JA)

 力ずくでマルガを陥とし、ナリスを人質に取ったイシュトヴァーンであったが、その状況は袋小路であった。会見の席で、かつての友グインや想い人リンダの声も届かず、ひたすらナリスをイシュタールに同道させようとするイシュトが実はヤンダルによって後催眠を施されていると見抜いたグインであったが、その解き方が判らない以上どうしようもなかった。マルガにて遂に、ケイロニアとゴーラの決戦の火蓋が切られようとしていた。

 自分の作品に誇りを持つというのとは、これはちょっと違うような……。
 実は上のはあとがきを読んでの感想ですw。いくら作家先生とはいえ、「(このクライマックスにたどり着けないなんて)この巻以前に読むのを辞めてしまった読者が気の毒だ」って自分で書くかね(^^;)。まあ確かにここ数巻はそれなりに面白いし、作者が思わず自讃しちゃうのもまあアリかなとも思わなくもないけれど(曰く「地獄のヒキ」とか)。自分で「いかなる批判の嵐も乗り越え、作家として次なる境地に達した」と書かれてしまうのはちょっとサブイボが立つんですが、劇中でグインなる超越者を描く人がこういうことを恥ずかしげもなく書くんですからね……それだけでもこの大河小説、読む価値あるかもw。
 え〜ナリスさまってのは一体何人お小姓を抱えているんでしょう?
 あとがきを読むまで、一番上に書いてやろうと思っていたのがこれ↑。殺されても殺されてもどんどん出てきて、結局それなりの人数が生き残ってるみたいだし。カイがなんでも甲斐甲斐しくお世話してるんでしょ?あとの子たちは何やってるの?しかも、あの死人が出まくった状況下で泣くことすら許されない。泣き声でナリスの御座所を震わすことすら許されない……やっぱりナリス教だ。
 ついにイシュトヴァーンとヨナが再会。心なしかヨナが、懐かしさからか、イシュトがあの日とはあまりにかけ離れてしまった反動か、最近の冷たい振舞を取っ払って、かつてのミロク少年ヨナに逆戻りしたような言動になってくれているというのに、肝心のイシュトヴァーンがーーーっ(泣)。取り付く島もない。グインやリンダに対しても同様で、たとえ魔王の暗示が効いているとしても、その根底には「自分を置いて行ってしまった」彼らへの憎しみがあるのだろう。でも、一方的にイシュトが置いていかれているわけではないんだよね。最近気づいたけれど、イシュトが付いて行こうとしないという面もあるんだよね、たぶん。これに触れるとまたぐだぐだ長くなるので、割愛するけど。
 で、グインを呼んでくると出ていったマリウスはどこに行っちゃったの?あと
 かねてからイシュトになんとか連絡を取ろうとしていた、ってのは嘘だよね(汗)?まあそれが外交だけど。
 調べた漢字。防禦、防御の難しい書き方。