「忘れじの吸血鬼」を読んでみた(96年刊行)

忘れじの吸血鬼 (コバルト文庫)

忘れじの吸血鬼 (コバルト文庫)

  • 第1話。赤川版安達ケ原……なのだが、黒幕が男(の姿)なのが赤川次郎らしい。少し前までオチはみどりの食欲ネタが定番であったが、この頃から涼子の恐妻ぶりで締めるようになってきたなぁ。
  • 2話と3話は続き物。映画のフィルムテープに吸血鬼の霊(?)が取り付いて人々を襲い始める話。田舎町が舞台なのでまたまた小野不由美ぽいし、淡々と人が殺されてゆくので結構怖かった。というか、フィルムテープのまま女の人に襲いかかるとか、餌食となった人々がフィルムの中の登場人物になって他人を引き込むとか、ちょっとホラーというより、80年代の東映モノのノリだったかも……。他にも、村長の世話係の女の子が村長と同衾してるとか、吸血鬼に噛まれた女性が成長して結婚し、生まれた子供を吸血鬼が我が子呼ばわりするなど、ドキリとする描写もちらほら。そこがまた読んでて楽しいのだが。