「吸血鬼と死の天使」(90年刊)を読んでみた(読み返してみた)

吸血鬼と死の天使 (コバルト文庫)

吸血鬼と死の天使 (コバルト文庫)

  • 第1話。憎んだ相手を殺してしまう能力をコントロールできずに悩む少女の話って……貞子の先駆け?
  • 第2話。エリカたちのマンションに吸血鬼を根絶やしにせんとする狂信者たちが押しかけてくる、珍しく涼子が最初から最後まで出ずっぱりの異色作。だからもう少し吸血鬼であるということを隠せばいいのに……(本文を読む限り、ことさらにアピールもしてない代わりに努めて極秘事項ともしてないのは明らかw)。
  • 第3話。これも子供の頃に読んで印象に残ってた話で、バレンタインデーネタ。相手の男の子を想うあまり、なんと彼を型どったチョコレート人形を作ったら、その人形が呪いの人形になっちゃって……腕が折れたり胸が火傷したり((((;゚Д゚))))。チョコが素材だから当然非常に脆い作りなわけで……恐ろしや恐ろしや。

 1話と3話はともに「人を死に至らしめてしまう危険な能力を持ってしまった少女」がテーマであるが、彼女たちが能力を克服、というか自身のコントロール下におけるようにできる切欠が、第1話では恋の成就、第3話では失恋というのが面白い。どちらも誰かを愛することによって心が大きく成長を遂げる、というのが根っこなのだが。ティーン小説らしくていいねえ(笑)。