ナチスの支援者としてバッシングを受けたことも

 私は藤本ひとみコバルト文庫をガッツリ読んだ世代ですが、最近のも面白いナリよ。

シャネル (講談社文庫)

シャネル (講談社文庫)

 ココ・シャネルというと個人的に思い出すのは、知る人ぞ知る少女向けマイナー雑誌「ぴょんぴょん」(直撃世代なのです、ハイ^^;)に読み切りで掲載された伝記マンガ。修道院の女学校時代に、シャネルが孤児の身の上ということで裕福なクラスメイトにバカにされながらも、プロムパーティにシンプルながらも美しい手作りドレスを着て登場してみせ、見事パーティの主役になってイジメっ子たちをギャフンと云わせる話……だったと思う。単行本化もされてない幻のマイナー短編ですw。んで、この藤本ひとみ著の伝記の中にも孤児時代に金持ちで嫌味な同級生と衝突するエピソードがしっかりある。どこまでが史実でどこからが藤本先生の創作かは判らないけれど、シャネルがかなり負けず嫌いで下克上志向の女性だったのは間違いないようで。
 彼女がどのような美的センスを駆使してどんなシャネルスーツを作ったとか、具体的なデザイン論云々のハナシは作中に殆ど無し。ガブリエル・シャネルという一人の女性が、人生の帰路、節目節目、あるいは逆境の中でどのように考え、何を支えに、何をエネルギー源として稀代のデザイナーとして前人未到の道を切り開いて行ったのかに終始こだわる内容であった。この辺は、藤本先生がラノベ作家時代に書いた「由里奈シリーズ」に於いて、新人キャスターの主人公が財界人相手のトーク番組の聞き手役に抜擢されて、短い収録時間の間に彼らから何を引き出すことが出来るのか悩むエピソードと被るなぁ。