グインサーガの86巻目を読んでみた

 AKUMAちゃん命名騒動とかあったよなぁ……。ウンナン主演のドラマに当事者たちが生放送で出演してたの覚えてるわ……。

運命の糸車―グイン・サーガ(86) (ハヤカワ文庫JA)

運命の糸車―グイン・サーガ(86) (ハヤカワ文庫JA)

 アムネリスはイシュトヴァーンとの赤子を産み落とすと、自害し薄幸の一生を終えた。子供は彼女の遺志により悪魔の子を意味するドリアンと名付けられた。そんな事態になっているとは露知らず、イシュトは戦場にてグインとの王として将としての力の差、器の差をまざまざと思い知らされていた。ついに降伏したイシュトに、グインとヴァレリウスは彼にかけられた後催眠を解除しようと試みるが。

 前半、悲劇。後半、(死人も出ているが)なんだかほのぼの。
 アムネリスが死んでしまいました……。メインキャラ8人のうちの1人と触れ込みの割には、後半は殆ど出番も無くなってしまって……(涙)。ナリスがよくリンダに「自分は弊履(←この小説でこの言葉覚えました)の様に捨てられてもおかしくない」とかよく云ってたけど、申し訳ないけど、彼女の退場ぶりにはこの言葉が思い浮かんでしまったw「光の公女」としての役目を果たし終えたら直ちにポイッ……みたいな。まあ、栗本先生が当初から彼女の運命をそう定めていたのだとしたら、それまでなのですが。案外、ドリアンが以降のキーキャラクターになる(予定だった)かもしれないし。しかし、たった一人で出産をし終える(ぎゃー)とは、女々しくなったとはいえ流石もと戦士というかなんというか。
 グインとイシュトヴァーンの初対決は、まるで指導対局(汗)。グインがなんとか戦いを通じてイシュトに王の何たるかを悟ってもらいたいと思えば、イシュトはイシュトで剣を振り回しながら帝王学につて真剣に考えているのが、妙にツーカーぽくて可笑しい。特にグインと直接刃を交わすイシュトヴァーンはなぜかこれまでになく初期の雰囲気に戻ったような感じさえあり、旧友と敵味方に別れて戦うという悲劇的な場面の筈なのに、ここ数巻怖い狂王の描写が続いていた分、思わぬ箇所で力が抜けてしまったというか何というか。でも、グインはイシュトヴァーンを中原を戦火に叩き込む存在としてかなり危険視していたんじゃないの?「1度は機会を与える」彼にしてみればイシュトにこれからでも賢君になってくれればと思っての措置だろうが、読者からすると、後にあいまみえる予定のラスボスをわざわざ強く育てているように見えてもしまう……(^^;)。
 読み方、意味を調べた漢字。磊落、らいらく。度量が広く、小事にこだわらないこと。遣瀬無い、やるせない。澎湃、ほうはい。水が逆巻くように、ものごとが盛んな勢いで沸き起こるさま。