グインサーガの9巻目を読んでみた
- 作者: 栗本薫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1981/12/01
- メディア: 文庫
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (13件) を見る
モンゴールに潜入したマリウスを待っていたものは、アムネリスの弟にして敵国の公子でもあるミアイルとの心温まる交流であった。心優しく孤独なミアイルにマリウスはかつての自分を重ねて情を注ぐが、彼の目前でミアイルは異母兄ナリスの放った刺客によって暗殺される。一方、孤島に潜む恐るべき怪異を目撃したグイン一行は、友軍の船に助け出され、遂に同盟国アルゴスに到着した。
なんといっても今回はマリウスとミアイルの悲劇につきる。ノスフェラスでのマルス伯のくだりもキツかったが、今回はそれ以上にいたたまれない。ので、悲劇直後のオロ(超序盤でグインを助けて死んじゃった人。正直捨てキャラだと思ってたのにここで再登場とは!)の実家でのマリウスとオロ両親のやりとりが大きな救いとなって響くんだな。いやー栗本先生ってハートフルも書けたんやねえ。ミアイルと触れ合ったことが今後のマリウスにとって意味のあるものであるように。そしてナリス。国背負ってるんだもの。そりゃ一人はオーベルシュタイン的思考に走る役割の人も必要でしょうよ。
ルードの森でグインが目覚めて以降出遭った驚異……ノスフェラスの狼王、光る船「ランドック」、不気味な円盤。そしてクリスタルの地下に眠る古代機械。さらにレムスの夢に現れたカル=モルの語ったグルヌーの谷と、これらの謎がひとつの線につながる時は来るのだろうか?